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解題『ドリトル先生のサーカス』(3)──ドリトル先生、早くも失望する
 オシツオサレツを連れてブロッサム大サーカスの一員となったドリトル先生は、サーカスの舞台裏を見て激しく失望します。特に、巡回動物園で見世物にされている動物たちがみじめな境遇に置かれていることはどうにも我慢がなりませんでした。

「ハリガリ」を観賞するドリトル先生とガブガブ
「ハリガリ」を観賞するドリトル先生とガブガブ
(『ドリトル先生のサーカス』挿絵、ヒュー・ロフティング画)

 オシツオサレツは観賞初日から大人気で、多くの人々が2つ頭の珍しい動物を見ようと箱馬車に詰めかけました。元から恥ずかしがり屋のオシツオサレツにとって人からジロジロと見られるのが耐え難い苦痛だったのですが、先生の借金を返すためだと思って我慢している内に人目にも慣れて来て、何日か経つとすっかり人目を気にせず普段通り振る舞うようになりました。
 先生は団長のプロッサムに案内されてサーカス団の他の見世物を観賞して回りましたが、その中でも特に失望したのは巡回動物園でした。ここで飼われている動物たちは狭く不潔な檻に閉じ込められ、満足に餌をもらえないのが一目でわかった先生はブロッサムに抗議したくなりましたが、ここで団長と事を構えるのはまずいと言うマシューの忠告を受けて怒りを抑えざるを得ませんでした。
 ガブガブは、ブロッサム言うところの南米はパタゴニアで捕獲した珍獣・ハリガリ(Hurri-Gurri)の檻をしげしげと眺めていました。先生が言うには、その「ハリガリ」の正体はアメリカ大陸全土に広く分布しているオポッサム(フクロネズミ)だそうですが。
 それから先生は蛇使いの女王・ファティマのテントへ通されました。このファティマは傲慢不遜な女で、インド原産の毒蛇の王者・コブラを操るという触れ込みで蛇に芸を仕込んでいたのですが、先生はこの蛇が北アメリカ原産の毒を持たない黒蛇に縞模様を塗ってそれらしく見せかけたものだと一目で見抜きます。先生がそれを指摘すると、ファティマは途端に不機嫌になり「蛇に触らないでおくれ!」と先生に食って掛かりました。ガブガブはその次に案内された人形芝居──この出し物はヘンリー・クロケットとその飼い犬のプードル・トビーが仕切っていました──がすっかり気に入ったようで、飽きること無くずっと観賞し続けていました。
 最後に先生が案内されたのは、怪力自慢のヘラクレスがダンベルを持ち上げている小屋でした。先生はファティマの蛇使い芸のようないんちきが無いこの出し物に感心しますが、ヘラクレスは誤ってダンベルを自分の胸に取り落としてしまいました。先生はすぐに動けなくなったヘラクレスを診察し、肋骨が2本折れていると診断しました。新しくサーカス団に加わったスミス氏が医者だったとは知られされていなかったブロッサムは呆気に取られますが、たまたま先生が獣医へ転職する前のことを知っている観客がそこに居合わせて「あの人はかつてイングランド西部で一番の名医だったジョン・ドリトル医学博士だ」と言ったので、先生は妹のサラに約束した偽名「ジョン・スミス」の使用を早々と諦めざるを得なくなってしまったのでした。
| 84oca | ドリトル先生のサーカス | 16:20 | comments(0) | trackbacks(0) |

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