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解題『ドリトル先生の郵便局』(8)──動物文字
 ファンティポ郵便局の再建作業で依然として残っている懸案が国内郵便の正常化でした。ドリトル先生は猫肉屋のマシュー・マグ宛に手紙を出し、イギリスから国内郵便正常化のための助っ人を呼ぶことにします。

動物文字の授業
動物文字の授業(『ドリトル先生の郵便局』挿絵、ヒュー・ロフティング画)

 ファンティポ郵便局の国際郵便が開業し、無人島はいつしか「動物の楽園」と呼ばれるようになっていました。先生は足しげく水上郵便局から島に通い、島の動物や国際郵便の集配で島に集う渡り鳥を相手に動物文字の授業を開講します。文字を一番最初に覚えたのは島に住む猿たちで、次第に慣れて来ると猿たちは補助教員として他の動物に文字を教えるようになりました。

 こうして、国際郵便は人間も動物も利用可能な世界最高水準のサービスが実現したものの、ファンティポの国内郵便は依然として正常化の目処が立っていませんでした。スキマーらツバメは長距離を運ぶ国際郵便ならまだしも、市街地をきめ細かく回る国内郵便には適していないのです。そこで、先生は都市事情に詳しい鳥ならスズメだと言うことでロンドンっ子のチープサイドを助っ人に呼ぶことにします。
 先生は早速「イングランド スロップシャー州 沼のほとりのパドルビー マシュー・マグ様」宛てに手紙を書き(マシュー本人は字が読めませんが奥さんのテオドシアは読めます)、留守宅の様子を見るついでにロンドンからいつも庭へ飛んで来ているスズメに同封した手紙を渡して欲しい旨を書いて発送しました。

 ここで出て来るスロップシャー州(Slopshire)というのは架空の地名です。但し、綴りの似たシュロップシャー州(Shropshire)という地名はイングランド西部に実在します。シュロップシャー州はロフティング家の次兄、ジョン・ヘンリーの出身地で、ヒューにとっても全く馴染みの無い場所ではなかったと言えます。恐らく、実在するシュロップシャーと豚の餌にする野菜の粕汁(slop)を組み合わせたのが、ここで出て来るスロップシャーという地名の由来なのでしょう。
| 84oca | ドリトル先生の郵便局 | 21:13 | comments(0) | trackbacks(0) |

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