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解題『タブスおばあさんと三匹のおはなし』(前)
 ヒュー・ロフティングが61年の生涯に残した作品の過半数は『ドリトル先生』(全12巻+番外編1巻)でしたが、それ以外の作品も何点か刊行されています。絵本が4点と小説が1点、そして詩が1点です(初めて書いた短編小説『排水溝と橋 Culverts and a Bridge』はこの中には含まれていません)。
 今回は『ドリトル先生航海記』と『ドリトル先生の郵便局』の合間に当たる1923年に刊行された初めての絵本『タブスおばあさんと三匹のおはなし The Story of Mrs. Tubbs』を紹介します。
『タブスおばあさんと三匹のおはなし』表紙
タブスおばあさんと三匹のおはなし』ストークス版表紙
(ヒュー・ロフティング画、1923年)

 この絵本は1923年に『ドリトル先生』と同じアメリカの出版社、F・A・ストークスより刊行され翌1924年にはイギリスでジョナサン・ケープより刊行されました。日本における最初の紹介は1954年で、岩波書店から光吉夏弥(1904 - 1988)の訳により『もりのおばあさん』の表題で刊行されています。この際は「フクちゃん」で有名な漫画家の横山隆一(1909 - 2001)が挿絵を描きました。


 それから50年以上が経ち米英でも原書は既に絶版となって久しいのですが、日本では幼少期に読んだ『ドリトル先生』の影響で英文学を志した小説家で英文学者の南條竹則氏が2010年に集英社から新訳版を刊行しました。


 この新訳版では、岩波版と異なりロフティングが描いた挿絵を使用しています。
 光吉訳『もりのおばあさん』は固有名詞なども含めて全てひらがな表記で本当に未就学児から小学校低学年向けになっているのに対し、南條訳『タブスおばあさんと三匹のおはなし』は小学校で教えない漢字も多用されており(読み仮名は振られています)、光吉訳よりも年齢層は高めで『ドリトル先生』に親しんでいる小学校中・高学年の児童や大人の『ドリトル先生』ファン向けと言えるでしょう。実際、発行元の集英社では対象年齢を「小学生」としており、岩波版より高めの年齢を想定しているようです。



| 84oca | ドリトル先生以外のHL作品 | 16:30 | comments(0) | trackbacks(0) |

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