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解題『ドリトル先生航海記』(12)──遭難、そして到着
 長い航海の末に船はようやく目的地のクモサル島へ近付きます。しかし、突然の大嵐に見舞われて船が大破し一行は遭難してしまいました。スタビンズ少年は大破した船のマストに縛られた状態で目を覚まし、イルカの群れに導かれて先生、バンポ、ポリネシア、チーチー、ジップと無事に再開します。こうして、一行は苦難に満ちた航海を終えて目的地のクモサル島にたどり着いたのでした。
大破した船のマストに縛られた状態で目を覚ますスタビンズ少年
大破した船のマストに縛られた状態で目を覚ますスタビンズ少年
(『ドリトル先生航海記』挿絵、ヒュー・ロフティング画)

 以前の解説でロフティングは同じシチュエーションを何度も再利用する傾向があると書きましたが、この場面もまさしくその典型と言えます。思い出してみてください。前巻『アフリカゆき』でも、先生の一行を乗せた船がアフリカへ上陸する直前に嵐が襲って来て、岩礁にぶつかって大破してしまいました。今回も「目的地への上陸寸前に嵐が襲って来て船が大破する」シチュエーションは同じです。しかし『アフリカゆき』が三人称で書かれているのに対して本作『航海記』はスタビンズ少年の一人称文体で書かれているので、読者にワンパターンと感じさせない工夫が為されているのです。
 ようやく嵐が去り、スタビンズ少年が目を覚ますと大破した船のマストにロープで縛り付けられていた状態でした。どうやら先生が海に投げ出されないように気絶したスタビンズ少年を縛り付けたようです。スタビンズ少年がポケットナイフで縄を切ると、そこへ紫極楽鳥のミランダが舞い降りて来ました。ミランダは先生たちが全員無事であることを知らせ、イルカの群れが船の残骸をクモサル島まで導いていることを教えてくれました。
 ミランダはシリーズ中、彼女に対して悪態を吐いたスズメのチープサイドに比べると出番は非常に少ないのですが印象に残るキャラクターです。他に(特に、人間の登場人物では)“お姉さん”的なポジションのキャラクターがいないこともその理由でしょう。
 そして、スタビンズ少年は無事に先生たちと再会し一行は「運まかせの旅行」の儀式で目的地となったクモサル島に上陸したのでした。

 次回以降は再度、周辺の話題を2〜3回挟んだ後に『航海記』の解説を再開する予定です。
| 84oca | ドリトル先生航海記 | 19:46 | comments(0) | trackbacks(0) |

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