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解題『ドリトル先生アフリカゆき』(10)──海賊の襲撃
 アフリカからの帰り道、北大西洋上でドリトル先生一行の船はバーバリ海賊団に襲撃されますが動物たちの協力で危機を逃れます。
ベン・アリの襲撃
「さてベン・アリよ──」(『ドリトル先生アフリカゆき』挿絵、ヒュー・ロフティング画)

 バンポ王子の用意した船でジョリギンキを出発し、イギリスへの帰路を急ぐドリトル先生の一行は北大西洋上で「バーバリの竜」と呼ばれ、恐れられているバーバリ海賊団の頭領ベン・アリと遭遇します。海賊船が猛スピードで先生の船を追って来ますが、ツバメたちが舳先に結んだロープを引っ張って船を曳航し、上手く逃げおおせることが出来ました。
 ところが、船底に住んでいたネズミが先生に「この船は底板が腐っていてもうすぐ沈没する」と警告したので、先生はひとまずスペイン領のカナリア諸島へ寄港することにしました。
 しかし、先生の船が入り江に寄港すると見たバーバリ海賊団は外洋へ出られないように入り江を塞いでしまいます。先生の船を乗っ取ったベン・アリは「今夜はアヒルと豚の丸焼きだ」と勝ち誇り、ガブガブは泣き出してしまいました。そんな中にあって、フクロウのトートーは落ち着き払った態度で先生に出来るだけ長く、ベン・アリと交渉をするよう進言します。
 海賊の理不尽な要求を受け入れる訳は行かず、かと言って武器を持った相手を刺激してもいけない神経を使う交渉は2時間以上に及び、ベン・アリがしびれを切らし始めた頃にネズミの警告通り、船底に穴が開いて沈み始めました。海賊たちは大慌てで自分の船へ泳ごうとしますが、サメの大群が出没して追い回されてそれも適わなくなってしまいます。
 先生はベン・アリに海賊をやめてこの島で農家になり、カナリアの餌を作るように命じました。最初は不服そうだった海賊たちも、サメが先生の指示通りに自分たちを追って来るので空恐ろしくなりこの要求を受け入れることにします。先生はベン・アリにもう一度、強く念を押しました。
「だが、よくおぼえておくことだ。」と、先生はいいました。「万一、その約束を破ったら──ふたたび、ぬすみや人殺しをはじめたら、それは、すぐわしの耳にはいってくる。カナリアが飛んできて、わしに話してくれる。そのときは、たちまち罪のむくいがくるということを忘れるな……鳥や獣や魚という友だちのあるかぎり、海賊のかしらごときは恐るるにたらんのだ……」

(訳・井伏鱒二)
 そして先生は沈んだ船の代わりに海賊船を接収し、再びイギリスに向けて出発するのでした。

 ドリトル先生はシリーズを通じて「罪を憎んで人を憎まず」を実践する人です。どんな悪人であっても自分の行いを反省し、心を入れ替えてまっとうに生きることを約束した相手であれば警察に突き出すようなことはほとんど有りません。バーバリの竜に警告したように、相手が裏切った場合はすぐさま動物たちが、先生が世界中のどこにいようと直ちに教えてくれるからです。
| 84oca | ドリトル先生アフリカゆき | 18:43 | comments(0) | trackbacks(0) |

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