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解題『ドリトル先生アフリカゆき』(3)──ドリトル先生、動物語を習得する
 この物語の主人公、ジョン・ドリトル先生は特別な能力を持って生まれた訳ではありません。誰でも機会と学習意欲さえあれば、動物の言葉を自由に話せるようになるかも知れない。そんな期待を読者に抱かせる、物語の始まり。

ドリトル先生の家
パドルビーの外れ、オクスンソープ通りに面したドリトル先生の家
(『ドリトル先生アフリカゆき』の挿絵、ヒュー・ロフティング画)

 ドリトル先生の家はイングランド西部の片田舎にある沼のほとりのパドルビー(Puddleby-on-the-Marsh)という小さな町の外れを通るオクスンソープ通り(Oxenthorpe street)に面した、先祖代々の広大な敷地にあります。このパドルビーという町はもちろん架空の町で、第3巻『ドリトル先生の郵便局』の記述ではスロップシャー州(Slopshire)に属するとされています。この州も架空の地名ですが、綴りの似たシュロップシャー(Shropshire)という州は実在します。オクスンソープはパドルビーの隣町で、その町に通じているのがオクスンソープ通りです。イラストの右下には「オクスンソープまで10マイル」、キロメートル換算だと約16キロという斜めに建った石の標識があり、この標識が通りの名称の由来になっているようです。

 ドリトル家は先祖代々のジェントリ(gentry)、つまり地主の家系です。ジェントリというのは公爵や伯爵などの爵位を持つ貴族ではありませんが、貴族の名代として土地を治める領主でした。16世紀頃から封建制が崩れ始めると貴族の監督下を離れて所有する土地を農民に賃貸し、その収入で生計を立てるようになります。だから、本来ならば収入は安定しているはずなのですがドリトル家の広大な敷地は農民に貸している気配が無く、当主のジョンが開業医として得る収入が主でした。ところが、ジョンは動物が大好きで庭に多くの動物を放し飼いにしているだけではなく家の中でも動物を飼うようになり、リウマチのおばあさんがハリネズミの上に腰かけてしまうなどひどい目に遭った町の人々は診療所に近寄らなくなってしまいます。患者が寄り付かなくなって家はすっかり貧乏になってしまったので、妹のサラはジョンにいつも文句を言いますがジョンは「動物の方が可愛い」と取り合いません。
 そんなある日、毎年クリスマスの時期に必ず調子が悪くなって薬を処方してもらう猫肉屋──精肉店で仕入れた屑肉を猫や犬の餌用に町を巡回して売る商売人が、先生に「人間の医者をやめて、獣医になったらどうだ」とアドバイスします。先生が飼っているオウムのポリネシアもこの案に賛成し、ジョンはポリネシアから動物の言葉を教わって自由に動物と会話ができるようになりました。こうして、獣医に転職したジョン・ドリトル先生の診療所には町の人々がペットや家畜を連れて来るようになり、ドリトル家は再び金回りが良くなったのでした。
| 84oca | ドリトル先生アフリカゆき | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) |

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